脳動脈瘤

疾患症状について

脳動脈瘤は破裂するとクモ膜下出血となり、破裂しなければ未破裂脳動脈瘤と言われています。この頁では未破裂脳動脈瘤についてご説明いたします。

未破裂脳動脈瘤は脳ドックや何らかのきっかけで脳のMRIを施行した際に、脳MRAと呼ばれる血管の検査で指摘されることが多いです。未破裂脳動脈瘤自体は、未破裂でいる間は症状を出さず何も感じません。しかし、破裂するとクモ膜下出血になるため症状がないからといって決して無視することはできません。個々の未破裂脳動脈瘤がいつ破裂するかは具体的にはわかりません。しかし、過去のデータからある程度の推測をすることが可能です。

UCAS Japanより

このデータは手術をしなかった人の動脈瘤の破裂割合を、場所と大きさで比較したものです。場所によって破裂率は大きく異なることと、大きさが大きくなると破裂率は高くなります。また、あくまで何らかの理由で手術をしなかった方に限られた話なので、実際の破裂率とは異なる可能性が高いですが、それでも傾向は知れると思います。

一方で治療は内服治療では治らず、開頭手術あるいはカテーテル手術などのリスクの伴う加療が必要です。動脈瘤によって、破裂率は高そうだけれど、治療は安全にできそうだ!ということであれば治療をおすすめすることが多いです。一方で、破裂率もそれほど高くなく、治療リスクも高くない場合、逆に破裂率も高く、治療リスクも高い場合などは治療する際には十分にご相談してからの治療が望ましいと考えます。破裂リスクが低く、治療リスクが高い場合は様子を見ることをおすすめしています。

検査・診断

動脈瘤があるかどうかは、MRIで判断がつくことがほとんどです。MRIで判断が困難な場合は、造影剤を使用したCT検査で血管の撮影を行い動脈瘤を詳しく調べます。治療が検討される場合は脳血管造影(脳アンギオ)にて詳しく精密検査を施行します。造影CTは外来でもできますが、脳アンギオは基本的には1泊2日か2泊3日の入院が必要となります。しかし、2022年11月より外来脳アンギオを施行していく予定となっております。(外来脳アンギオに関しては別ページにて)

脳アンギオで動脈瘤を観察し、上記のような治療方針を患者さんと相談していくこととなります。また、下記の治療方針に関しても、開頭手術が良いのか、カテーテル手術が良いのかをご相談する重要な資料となります。

治療方針や手術治療

未破裂脳動脈瘤に対しては、1. 経過観察、2. 開頭手術(クリッピング術)3.カテーテル手術(コイル塞栓術、フローダイバーター)の3つの選択肢があります。破裂しないように治療をするためには2か3が必要なのですが、7割以上の動脈瘤はどちらでも治療することが可能なので、ご相談した結果で治療を選んで頂くことが可能です。開頭手術にせよカテーテル手術にせよ、それぞれの利点と欠点があります。また、得意な動脈瘤も異なりますので、よくよく担当医のお話を聞いて判断をお願いします。

一般的には開頭手術は中大脳動脈の動脈瘤を得意としています。利点は根治性が高いこと(一度治療すると、もう動脈瘤が悪さしないこと)やトラブル時に様々な対応ができることがあげられます。一方で、欠点として侵襲が大きいことや術後出血などのリスクがあることが挙げられます。カテーテル治療は内頚動脈や脳底動脈の動脈瘤を得意としております。利点としては侵襲が低く、高齢な方でも対応可能であることですが、欠点としてはフローダイバーターやステントを使用した場合は抗血小板薬と呼ばれる血液さらさらの薬を1年から2年ぐらい内服しないといけないことや、トラブルの際の対処法が限られることです。それぞれの利点と欠点の説明を十分に受けてから、治療を選択されることをおすすめします。

入院期間

開頭手術の場合はおおよそ2週間の手術日程となります。

入院した翌日か翌々日に手術を施行し、手術後はICUかHCUに1泊した後に病棟に戻ります。手術後はドレーンと呼ばれる血抜きの管が入りますが、通常は翌日に抜去して、術後1-2日で食事が再開となります。手術の1週間後に抜糸を施行し、その後検査をして問題なければ退院という流れになっています。おおよそ2週間の予定です。

手術は全身麻酔で施行し、手術手技にもよりますが3-6時間の手術になることが多いです。手術後は麻酔をさまして、手術に問題がなかったかを確認します。

カテーテル手術の場合はおおよそ1週間の手術日程となります。

入院した翌日に手術を施行し、手術後はICUかHCUに1泊した後に病棟に戻ります。翌日からご飯を食べて少しずつ歩行をしていきます。その後に、MRI検査等を施行し、退院までは一週間かからないことが多いです。

手術は局所麻酔でもできますが、多くの場合は全身麻酔で施行し、手術手技にもよりますが2-3時間の手術になることが多いです。手術後は麻酔をさまして、手術に問題がなかったかを確認します。