脳梗塞

脳梗塞は3つのタイプがあります。小さな血管が狭くなって閉塞して生じるラクナ梗塞、大きな血管が細くなって閉塞したり狭窄したりして生じるアテローム血栓性脳梗塞、主に心臓などから血の塊(血栓)が脳の血管に飛んできて閉塞を生じる心原性脳梗塞、の3パターンです。

高血圧や高脂血症、糖尿病やタバコ、お酒などが関係するのはラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞です。

ラクナ梗塞

ラクナ梗塞の治療

ラクナ梗塞の治療は、tPA治療を施行することもありますが、主には点滴の抗血栓薬(血液をサラサラにする)やフリーラジカルスカベンジャーです。放置しておくと脳梗塞が拡大することが知られていますが、この脳梗塞の拡大を最小限に抑えるのが目的です。1~2週間すると脳の状態が安定しますので、その後はリハビリ治療がメインとなります。

アテローム血栓性脳梗塞の治療

アテローム血栓性脳梗塞 血管が狭くなっています

アテローム血栓性脳梗塞は脳の大きな血管が閉塞したり狭窄したりした影響で脳梗塞になっています。この場合、もし閉塞であれば急性期にカテーテルによる脳血行再建術を施行することがあります。また、はじめは点滴治療などで経過観察をし、症状が悪化してくるようであれば、バイパス手術あるいはカテーテルによる血管拡張術やステント留置術を施行することがあります。年齢や症状の経過により治療方針が大きく変わるために、一律した治療方針が組めないところがこの病気の難しいところです。

心原性脳梗塞の治療

心原性脳梗塞の治療は血栓が脳の血管に詰まって閉塞するために生じます。閉塞してからすぐであれば、カテーテルによる血栓回収術やtPA治療により血栓を除去できるかもしれません。脳梗塞が完成する前に血栓を除去できれば症状が改善する可能性があります。

心原性脳梗塞 血の塊で閉塞します

この治療は時間との戦いであり、担当医も一生懸命急いでご説明するので、なかなかわからないことも多いかもしれません。治療をしないと良くなる可能性は10%程度である一方で、治療をすると30%近い方が元気になる可能性があります。

もし既に脳梗塞が完成している場合はカテーテル治療やtPA治療は適応となりません。脳梗塞の再発予防とフリーラジカルスカベンジャーで脳のダメージを最小限に抑えるのが治療方針となります。しかし、心原性脳梗塞は一般的に脳梗塞の範囲が大きく、脳梗塞はその後に脳浮腫を伴うために周囲の脳に悪影響を及ぼす可能性が高いです。この結果として、大切な脳幹という脳を圧迫する脳ヘルニアを生じて命を落とすことがあります。脳ヘルニアは手術により予防できる可能性もありますが、左の脳ヘルニアは手術をしても予後が悪いことが多く、右の脳ヘルニアを手術するのとが多いです。